歳を重ね足腰が萎えたり、寝たきりの状態になったら自宅の二階にある寝室は不向きである。そろそろ寝室を一階の書斎に移すことを、君は数年前から考え、美瑛子にも日出夫にも朝子にも話をしてきた。しかし、自作の数点の彫刻や、歴史を含んだ膨大なネガフィルムを詰めた段ボールの数々、そして多くの書籍でほぼ空間が埋め尽くされている書斎を空にする作業は、想像するだに容易なものではない。いつ、だれが手を付けるか考えただ…
[連載]知らぬが佛と知ってる佛
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第9回】丹澤 章八
入院中の私のもとに家族が面会に…「来年は一緒にお花見をしましょうね」妻の言葉が、不安をそっとふき取ってくれた
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第8回】丹澤 章八
闘病中の私を「沢山の人を助けたんだから」と励ます妻。だが私は地獄に落ちるだろう—産婦人科医だった頃、優生保護法のもと…
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第7回】丹澤 章八
二泊三日の検査入院のはずが二度目のがんの手術に…「知ってる佛」に十四年前の追憶へと誘われ…
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第6回】丹澤 章八
二度目の癌手術、どんなに不安感情を払拭しようとも「知ってる佛」は望んだ返答を返してはくれない
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第5回】丹澤 章八
2月30日に消化器外来を訪れたのに、あなたの検査は5月の連休明けになると告げられ…
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第4回】丹澤 章八
人生初の流動食の献立は味気なく…デザートの小さなちいさなアイスクリームだけは…
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第3回】丹澤 章八
「お話があるのですが…」医師の話に、ある日の夕食を思い出してゾッ…
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【第2回】丹澤 章八
【知ってる佛】がなにか言いかけ、それを強引に口をふさぐ【知らぬが佛】
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エッセイ『知らぬが佛と知ってる佛』【新連載】丹澤 章八
嫌な予感が的中。三つの癌に見舞われ、人生二度目の癌闘病生活へ