狭い防空壕に祖父母、叔母二人、母と私と妹の七人が毛布をかぶりながら不安な面持ちで寄り添っていた。爆風で鼓膜が破れたり目玉が飛び出すのを防ぐため非常訓練で教えられていた通り、祖父が指示した。「攻撃が終わるまで、目と耳を両手で押さえなさい」みんな怯えて顔がこわばっていたが祖父の言う通りにした。爆発音は、次第に単発から連続音に変わっていった。「シュルシュルシュル」「シュルシュルシュル」鈍い音が続く。屋…
［連載］戦争を知らない君へ
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【最終回】
「ドカーン」と爆発する音が連続して聞こえ、家全体が揺れた
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第16回】
今から思えば爆弾や焼夷弾が落ちれば何の役にも立たない防空壕だったろう
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第15回】
一変して死ぬか生きるかの恐ろしい出来事に遭遇した
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第14回】
祖父の教えによっていじめによる苦しさから解放された
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第13回】
明日からランドセルをやめてみんなと一緒の肩掛けカバンで学校に行きなさい
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第12回】
悔しくて情けなくて一人でシクシク泣きながら自宅に戻った。
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第11回】
「ちくしょう。あいつらに負けてたまるか」と歯を食いしばり一人で学校の門をくぐった
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第10回】
その頃の母は、私にとても優しく話もよくしてくれて大好きなお母さんだった
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第9回】
京都空爆も時間の問題と思うので早く静岡へ引っ越したい
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第8回】
ジュージュー噴いたら火を止めて、赤子泣いても蓋とるな
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第7回】
妹の面倒をよく見たご褒美に、欲しかった憧れの自転車を買ってもらった。
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第6回】
この子のお守りだけでもしてくれたら、おばあちゃんはとても助かるわ
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第5回】
目上の人に会えば、「おはようございます」とお前から挨拶をしなさい
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第4回】
男子小学生は、全て兵隊と同じように丸刈りにされていた
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第3回】
人間関係の基本である「はい」「すみません」「ありがとう」の三つの言葉
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【第2回】
物知りで情報通で、性格は頑固で意志強く正義感に溢れた行動派
-
エッセイ『戦争を知らない君へ』【新連載】
戦争は、国民を極度に苦しめ、全てを破壊し悲惨な結果しか残らない。
