五、妹の「子守り」で発見し学んだこと

一九四三(昭和一八)年六月末に可愛い妹が生まれた。産院へ妹を見に行った。

丸々とした愛くるしい元気な女の子で天使のように思えた。「これが僕の妹だ。お兄ちゃんになった」と思うと嬉しくて仕方がなかった。

母は、一週間ほどで退院ししばらくのあいだ仕事を休んで育児に専念していた。母の母乳があまり出なかったので、妹は、新生児から哺乳瓶で粉ミルクを飲んでいた。

数カ月経過した。妹はすくすく元気に育っていった。

いつも昼間は、祖父母と私と妹の四人だった。祖母は、目の悪い祖父の面倒をみながら、妹の育児もよく世話をしていた。

妹の布のおむつを取り替えたり、ミルクを飲ませたり、寝かせつけたり、妹の世話は、祖父以上に大変だった。そして、布おむつなので、毎回付着した汚物を処理し綺麗に洗濯して再利用していた。布おむつの作業だけでも大変だった。

汗をかきながら一生懸命両方の面倒をみている祖母をみて子供ながらにとても大変だと思った。みるにみかねて、「おばあちゃん。僕にできる事があれば、何でもお手伝いするよ」と申し出た。