一、艦砲射撃と爆弾攻撃に遭う
狭い防空壕に祖父母、叔母二人、母と私と妹の七人が毛布をかぶりながら不安な面持ちで寄り添っていた。爆風で鼓膜が破れたり目玉が飛び出すのを防ぐため非常訓練で教えられていた通り、祖父が指示した。
「攻撃が終わるまで、目と耳を両手で押さえなさい」
みんな怯えて顔がこわばっていたが祖父の言う通りにした。爆発音は、次第に単発から連続音に変わっていった。
「シュルシュルシュル」
「シュルシュルシュル」
鈍い音が続く。屋根の上を砲弾が何発も何発も飛んでいった。
「ドカーン」
「ドドーン」
「ズズーン」
と爆発する音が連続して聞こえ、その都度、家全体が地震のように揺れた。
防空壕の土がバラバラとこぼれ落ちた。「キャー。恐い」と祖母にしがみついた。私は、恐怖でものが言えなかった。
いつ我が家に直撃弾が落ちてくるかと思うとハラハラドキドキしながら恐くて生きた心地がしなかった。家族を落ち着かせるため、祖父が言った。
「これは、飛行機からの攻撃ではない。屋根の上を砲弾が通過しているから、艦砲射撃(注一)だと思う。しかも、遠くに着弾しているから、この辺りを狙っているのではなさそうだ。もう暫くじっと我慢して様子を見てみよう」と全員を励まし安心を与えた。