一、艦砲射撃と爆弾攻撃に遭う

真夜中だった。突然、屋根の上を「シュルシュルシュル」という大きな音がして静寂が破られた。

少し間を置いて「ドド~ン」という大きな爆発音が聞こえた。家が地震のように揺れた。警戒警報も空襲警報も鳴らなかった。

私は、びっくりして目が覚めた。恐ろしいことが起こりそうな予感がした。恐くて頭から布団をかぶった。祖父が懐中電灯を点けた。

「みんな起きろ。空襲だ! 防空ずきんをかぶれ! 縁の下の防空壕へ入ろう! 電気は点けるな! 足下に気を付けて!」と大きな声で家族全員を叩き起こした。真っ暗な土間で草履をはくのを懐中電灯で照らしてくれた。

縁の下の防空壕に行くには、いったん、外に出なくてはならない。震えている私に祖母が「正夫。みんながいるから大丈夫だから、早く防空ずきんをかぶって。草履をはきなさい」と急がした。

家族みんな、防空ずきんをかぶり寝間着のまま祖父のいる木戸のそばに寄り合った。「わしが、木戸を開けるから、落ち着いて一人ずつ防空壕に入れ!気を付けて!」と叫び木戸を開けた。