【前回記事を読む】必死に逃げた道を戻ると、そこは徹底的に破壊され、焼き尽くされ、沢山の人が死んでいた。爆弾でえぐられた跡がいくつも…「お金が無い」ということの辛(つら)さを知ったのは、父が失業してからだった。敗戦と共に、徴用にとられて働いていた造船所を放り出された父には、行くあてがなかった。戦後の混乱期、人々は食べ物を求めて汲々としていた。衣料は統制であったし、とても元の呉服の商いができるような…
[連載]時をつむいで
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エッセイ『時をつむいで』【第16回】中村 良江
家族みんなの顔が揃った食事時、職を失った父が口を開いた「おまえ...」
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エッセイ『時をつむいで』【第15回】中村 良江
「うち、ここから帰るわ」そう言った姉は、私たちの制止を聞かず、今にも壊れそうなつり橋を渡り始める…
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エッセイ『時をつむいで』【第14回】中村 良江
必死に逃げた道を戻ると、そこは徹底的に破壊され、焼き尽くされ、沢山の人が死んでいた。爆弾でえぐられた跡がいくつも…
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エッセイ『時をつむいで』【第13回】中村 良江
響き渡る空襲警報、迫り来るB29…。造兵廠から逃げ惑うなかで体験した終戦前日の出来事と、忘れられない級友からのお弁当
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エッセイ『時をつむいで』【第12回】中村 良江
兄の招集が決まった時、伯母は「あの子が履いていく靴やから、美しゅう磨いてや」と言った。
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エッセイ『時をつむいで』【第11回】中村 良江
「どうしよう……」頭の中が真っ白になった。問題集で何度も答える練習をしたのに、入試当日、口頭試問で出題されたのは…
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エッセイ『時をつむいで』【第10回】中村 良江
祠が開かれると町はいつになく華やかに灯される 図柄や川柳に心を躍らせた夏の記憶
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エッセイ『時をつむいで』【第9回】中村 良江
ほろ酔いで上機嫌な父と私と弟で行った夏祭り。何でも買ってもらえると喜んでいると…
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エッセイ『時をつむいで』【第8回】中村 良江
夏祭りで具合が悪くなった私。お医者さまから「お祭りで、何か食べたの」と聞かれ…。
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エッセイ『時をつむいで』【第7回】中村 良江
太平洋戦争がはじまり…男女とも上半身裸の「耐寒訓練」の思い出
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エッセイ『時をつむいで』【第6回】中村 良江
「虚弱児」ということで大阪市が運営する淡路島の郊外学園でひと夏を過ごすことに…
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エッセイ『時をつむいで』【第5回】中村 良江
本当にくせ毛なのに!先生の心無い言葉に傷ついた心。それを聞いた父は…
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エッセイ『時をつむいで』【第4回】中村 良江
初めての家庭訪問の日、気になってそっと家の様子を見に戻ると・・・。
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エッセイ『時をつむいで』【第3回】中村 良江
ヤミの物資を扱い、警察に拘留された父。戻って来た背中に家族全員が息を呑んだ…。
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エッセイ『時をつむいで』【第2回】中村 良江
「今日のおかずは金時豆」幼稚園で…お弁当に一喜一憂のお昼時間。
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エッセイ『時をつむいで』【新連載】中村 良江
「私の人生の記憶はどうやら怖い経験から始まるらしい」