明くる地蔵盆の当日は、近くのお寺の坊さんが、各町内の地蔵さんを順番に拝んで回る。頃合いになると、町内から子供たちが大勢集まってきて、祠(ほこら)の前に敷き詰めたむしろに大きく円座になって坊さんを待つ。大人たちもぼつぼつと姿を見せる。「今、五丁目でやってる。この次や」隣の町会へ偵察に行った子が戻ってきて報告をする。やがて黒い夏衣をまとった坊さんがやってくると、野球のボールより少し小さいくらいの珠が…
[連載]時をつむいで
-
エッセイ『時をつむいで』【第11回】中村 良江
「どうしよう……」頭の中が真っ白になった。問題集で何度も答える練習をしたのに、入試当日、口頭試問で出題されたのは…
-
エッセイ『時をつむいで』【第10回】中村 良江
祠が開かれると町はいつになく華やかに灯される 図柄や川柳に心を躍らせた夏の記憶
-
エッセイ『時をつむいで』【第9回】中村 良江
ほろ酔いで上機嫌な父と私と弟で行った夏祭り。何でも買ってもらえると喜んでいると…
-
エッセイ『時をつむいで』【第8回】中村 良江
夏祭りで具合が悪くなった私。お医者さまから「お祭りで、何か食べたの」と聞かれ…。
-
エッセイ『時をつむいで』【第7回】中村 良江
太平洋戦争がはじまり…男女とも上半身裸の「耐寒訓練」の思い出
-
エッセイ『時をつむいで』【第6回】中村 良江
「虚弱児」ということで大阪市が運営する淡路島の郊外学園でひと夏を過ごすことに…
-
エッセイ『時をつむいで』【第5回】中村 良江
本当にくせ毛なのに!先生の心無い言葉に傷ついた心。それを聞いた父は…
-
エッセイ『時をつむいで』【第4回】中村 良江
初めての家庭訪問の日、気になってそっと家の様子を見に戻ると・・・。
-
エッセイ『時をつむいで』【第3回】中村 良江
ヤミの物資を扱い、警察に拘留された父。戻って来た背中に家族全員が息を呑んだ…。
-
エッセイ『時をつむいで』【第2回】中村 良江
「今日のおかずは金時豆」幼稚園で…お弁当に一喜一憂のお昼時間。
-
エッセイ『時をつむいで』【新連載】中村 良江
「私の人生の記憶はどうやら怖い経験から始まるらしい」