遊歩道は、足への負担が少ないようにと考えられているのか、土がしっかり固められ、ウォーキングにもジョギングにも適しているのだろう。その道を、子どもとも大人とも判断がつかない若い女が、歩いているのかそれとも走っているのか、不安定な足取りでずりずりと擦るような音とともにこちらに向かってくる。小太りの体にリュックを背負い、顎を突き出し、手には外した不織布のマスクを握っている。グラウンドを一周すれば五百メ…
[連載]鶸色のすみか
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小説『鶸色のすみか』【第16回】野原 ルイ
彼の奥さんは乳がんの闘病中、豪雨災害で亡くなった。―だが、彼女の遺体が発見された場所で、男性看護師とその車も発見され…
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小説『鶸色のすみか』【第15回】野原 ルイ
母の亡骸を見ても悲しみが湧かなかった。支配された心が解放されると思ったけれど―亡くなって一年経っても、母が私を呼ぶ声が…
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小説『鶸色のすみか』【第14回】野原 ルイ
今、思い返してみると、月子姉ちゃんはおかあさんに一番かわいがられていたよね
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小説『鶸色のすみか』【第13回】野原 ルイ
三姉妹でのお墓参り。「夢におかあさんがよく出てくるの。嫌なんだけどね」夢に出る亡き母のおもかげの意味とは
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小説『鶸色のすみか』【第12回】野原 ルイ
奇妙な虫の画像を怖いもの見たさでクリックするとそこには…
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小説『鶸色のすみか』【第11回】野原 ルイ
バス停で見た虫。気持ち悪さと正体を突き止めたい衝動が五分五分で、迷いながらついに…
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小説『鶸色のすみか』【第10回】野原 ルイ
バス停まで送ってくれるという白鳥さん。歩道が狭く、互いの指が触れ合いそうになり…
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小説『鶸色のすみか』【第9回】野原 ルイ
私達の進展のない間柄を象徴しているかのように、1年前と同じ場所に置いてあったお酒
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小説『鶸色のすみか』【第8回】野原 ルイ
【小説】絶滅危惧種だとしても、自分一人で生きていく糧なら何とかなるだろうと思った
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小説『鶸色のすみか』【第7回】野原 ルイ
【小説】クライアントの無理解に渦巻く腹立たしさ、怨念。反論できないのがフリーの立場
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小説『鶸色のすみか』【第6回】野原 ルイ
【小説】ピッ、チカッ。眼底検査中、ふと考えたのは測量士である彼の眼のことだった…
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小説『鶸色のすみか』【第5回】野原 ルイ
【小説】測量に印刷広告デザイン…フリーランスの二人組が居酒屋に!?
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小説『鶸色のすみか』【第4回】野原 ルイ
「世界は私たちが知らない小さな偶然の重なり合いでできている」
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小説『鶸色のすみか』【第3回】野原 ルイ
居酒屋での定例会。待ち合わせの男との出会いはまるで「少女マンガ」?
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小説『鶸色のすみか』【第2回】野原 ルイ
「創造力もコミュニケーション能力も必要ない」反復作業のポスティングこそ私の性には合っていて…
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小説『鶸色のすみか』【新連載】野原 ルイ
【小説】「どんなポストも味方につけて歩かなければならない」