十一月三日どろぼう神父様粉雪の、しんと静かな昼寝時間。“配給の薪”は燃えつきて、寒くてとても眠れやしない。同室の子とふたり素足でひ、た、ひ、た、階段降りて「薪どろぼう」しに行く。薪置場は密やかに山(ぶ)毛欅(な)の匂い…。その時、人の気配! まるめた二つの背中に「アナタガタナゼネマセン? ナゼココニイル?」と神父様。「さ…さむくて…だ…だから…」とふたり。神父様は人さし指と中指をひたい(、、、)…
[連載]花と木沓
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エッセイ『花と木沓』【最終回】おのちよ
「まだモンシロチョウにならない…」ひと晩中みていた不思議な夢
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エッセイ『花と木沓』【第15回】おのちよ
「神様は薬じゃないのです。そこを知る事が一番大切です。」
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エッセイ『花と木沓』【第13回】おのちよ
草の上に輪になってお誕生日のお祝い…栗の木の下に取り残され空を見上げる
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エッセイ『花と木沓』【第12回】おのちよ
「ヤエ子、ママよ。ママ来たのよ」愛しい娘に頬ずりをするも…
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エッセイ『花と木沓』【第11回】おのちよ
馬車から現れた客人…わずか数分で感じ取った“静かな一歩々”
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エッセイ『花と木沓』【第10回】おのちよ
「とても辛かった」皆の宝物である牛の頭に、大きな木槌が落ちる…
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エッセイ『花と木沓』【第9回】おのちよ
80年の人生のなかで…「最も品格と寛容と威厳の備わった人物」との出会い
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エッセイ『花と木沓』【第8回】おのちよ
「今は夜、夏の夜空」とても精巧な、チカッチカッと切れ味のするどい星座です。
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エッセイ『花と木沓』【第7回】おのちよ
「日に何度も泣く」…少女が入院する病室、見える空はいつも雨
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エッセイ『花と木沓』【第6回】おのちよ
まるで絵本の世界…ポストランティンたちが集う、うららかな午後
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エッセイ『花と木沓』【第5回】おのちよ
「波打ちぎわはレエスのふちかざり。」ああ本当に雪国の春は嬉しい。
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エッセイ『花と木沓』【第4回】おのちよ
修道女と女学生の交流「ドラマティックな情景だとお思いになりませんか」
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エッセイ『花と木沓』【第3回】おのちよ
「沈黙は神との対話」美しい沈黙の労仂で営まれるマリア院での生活
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エッセイ『花と木沓』【第2回】おのちよ
【エッセイ】兄は今でも少年のまま...「三月はつらい月」
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エッセイ『花と木沓』【新連載】おのちよ
【エッセイ】コロナ、いじめ…病気がちになってしまった少女の日記帳