花と木沓
三月五日 熱高し
ちいさな
かぜが吹いた
窓を開けて
私は
こころでつくった
しゃぼん玉ひとつ
放った
母に父に向けて
あら やっぱり……この日は熱が出ました。三月の、この季節は16才の頃にも、そして80歳を超えた今も、熱が出るほどに悲しいのです。野原を眺めても、空を見上げても、なにもかにもが悲しく見えてしまうのです。
冬薔薇光る石だたみ
鐘の音は 石をひたし 大地にしみて
地は沃土となる
麦踏む修道女
足元に影を落して
声ひくく祈りながら……
麦と影とを踏む。
日の沈むまで。
修道女様方は色々なおつとめと、そして祈りの明け暮れです。この畑の野菜や牧舎からのハム等が、近くの当別という所にある男子修道院に届けられ、あちらからはパンをいただいていたようです。枕みたいな巨大なパンをスライスするのは厨房のガブリエラ様でした。