エッセイ 2022.10.07 【エッセイ】兄は今でも少年のまま...「三月はつらい月」 花と木沓 【第2回】 おのちよ どんなにのろくても、春は必ずやってくる 画家・小野千世の幻の絵日記を書籍化。 先の見えない不安に寄り添う、物静かな北国からの風のたより。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 心に傷を持つ少女・ちよは、修道院で暮らすことに。教室に漂う牧草の香り、修道女たちのせせらぎのようなコーラス、響き渡る鐘の音…神様に見守られながら過ごす日々は、寂しくも温かく、ちよの心をほぐしていく。画家・小野千世の幻の絵日記を書籍化。※本記事は、おのちよ氏の書籍『花と木沓』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。 二月二十七日 今朝別れた、なつかしい母上様 写真を拡大 この大切なお手紙と私とを乘せて、赤い馬橇(そり)は雪の石狩原野を走りつづけました。 写真を拡大 夕日が、その最后の輝きで、雪原をバラ色に染め上げた時、地平線にポツッと〟何か〝が、現われ、だんだんに近づいて、小さな橋になりました。質素な橋は、どこもすっかり白樺の枝や幹で作られていて左右の手摺の枝はPAX・DOMINEと文字のかたちに組まれています。それは、お母さん「主の平安」と云う意味なのです。これが、マリア院の入口でした。 写真を拡大 写真を拡大
ビジネス 『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?[注目連載ピックアップ]』 【第8回】 中山 てつや,中山 てつや 同期で「えい、やー!」と給料明細を見せ合うと、飛び抜けて多い人がいた。中身を見ると、「家族手当」が追加されており、その額は... 【前回の記事を読む】友人は「人事は見ているから」と言ったが、本社からの異動は、実質的には片道切符。めったなことでは本社に戻れない仕組みになっていた。 古き良き年功序列は根強い人事評価の仕組みを、自分のためだけに、ひとりで作り上げることはできません。評価制度は、入った会社にすでに存在しているもので、その枠の中で工夫を凝らしながら、上手に泳ぐ術すべを、身に着けていくことになります。世の中には、いろい…
小説 『詐術人間~看護学生あずみの事件簿 3~』 【新連載】 叶浦 みのり 学園祭前、M医科大学フットサル部員たちは出し物について議論していた。「学園祭といったら、絶対食べ物でしょう!」 詐術(さじゅつ)―。嘘をつくこと。人は動物と違って嘘をつく。つきたくてついた嘘と、つきたくなくてついた嘘。結果的に、どちらも違いはない。嘘にまみれた人生。そんなものが存在するのか?嘘の中に真実を見出すことができるなら、嘘にまみれた人生にだって、いくばくかの救いがあるはずだ。これは、そんな人間の話。詐術人間の物語―。「真琴ぉ、今、なんて言ったの?」「は?」「だからぁ、今度の医学祭の出し物! 今、超…