【前回の記事を読む】2人で滝に行き、体を洗い、マンゴーをつまんだ。互いに向き合い、指先の力加減を読み、息遣いの深さを数え…カルロが何かと、誰かと重なるのだが、その何かが思い出せない。ある日、コイチはあばら家の補修をするために刃物を研いでいた。カルロは側に来て真似し始める。「やってみるか?」カルロの両手にコイチの両手を添え、水を少しかけながら石に当てるカナモノの角度を教える。カルロは呑み込みが早い…
[連載]サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第21回】花田 由美子
外国人女性に紙とペンを渡され、「赤ちゃんの名前を決めて」→外国名を提案すると、「日本の名前がいい」と言われ…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第20回】花田 由美子
2人で滝に行き、体を洗い、マンゴーをつまんだ。互いに向き合い、指先の力加減を読み、息遣いの深さを数え…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第19回】花田 由美子
服の上、黄色い何かにむしゃぶりついた。大きな種と厚い皮の内側の果肉をこそげ落としていると、甘ったるい女の声が…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第18回】花田 由美子
「撃たれなかった理由は、白人ではないから?」初めての海外出張で、まだ少年のようなゲリラ兵に銃を向けられ…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第17回】花田 由美子
「子供預かるから、海外出張行ってくんないかなぁ」出張先は密林の奥地だった。4週間の予定が、8週間に延び…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第16回】花田 由美子
転職後、初めての給料日「基本給、低くて申し訳ないね」と渡され…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第15回】花田 由美子
突然喘息持ちの子の親になった。保育園からの「咳が止まらない」連絡で、有休消化はあっという間。同僚も嫌な顔をするように…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第14回】花田 由美子
最期に顔見ることも許されなかった。遺された子供の父親なのに、「ご本人の意思で、今の姿を見られたくない、」と。
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第13回】花田 由美子
鋭い声が聞こえ、隣の部屋の前に警察が…母親は連行され、子供の行き先は「多分、施設」
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第12回】花田 由美子
認知症の母を助けようと下敷きに…お腹の子の上に膝をつき、全体重をかけられた。激痛、足の間からは液体が流れ、赤ちゃんは…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第11回】花田 由美子
プロポーズされたのに、言えない…両親に家がないこと。借金まみれで、寮に住み込み、極狭スペースで寝起きしていること。
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第10回】花田 由美子
「子どもできたよ」報告しようとしたその日、「母さんが徘徊するようになった」と知らせが…彼を親に紹介できない理由がまた増えた。
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第9回】花田 由美子
夜の職場の紹介で、ある託児所へ。個人名の表札に不安…疲れきった中年女性の奥には、既にたくさんの赤ん坊がいて…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第8回】花田 由美子
預け先を見つけられないまま短時間、清掃の仕事に就いた。ある日帰ると、赤ちゃんは電気コードにぐるぐる巻きになっていて…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第7回】花田 由美子
再会の瞬間、祖母は動物を見るように膨らんだおなかを凝視した。「結婚した話は聞いてない」と、玄関引き戸の中へ入れてくれず…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第6回】花田 由美子
「女子高生なんだねぇ(ねっとり)」…入浴中、擦りガラス越しに洗面所で歯を磨かれる。家で眠れないので、授業で寝るようになった。
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第5回】花田 由美子
「育てられないって誰に相談すればいい?」妊娠を伝えようと、見慣れたドアの前に立った。合鍵が、入らない。表札は別人になっていて…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第4回】花田 由美子
尿検査キットが変化するのを寮のトイレで見た。覚悟も責任もない、22歳。父親の認知もまだなく…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第3回】花田 由美子
「嫌われたら我慢するんだ。犯罪なんだ。」言い聞かせながら、社員寮近くをうろついた。同じ気持ちだと信じていた…
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小説『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』【第2回】花田 由美子
「パパはどこにいるの?」と聞くと、「けえむしょ」あるいは「おそらにあるくものうえ」小指のない世話係は、父親ではないようだ。
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