【前回の記事を読む】台所に妻がいない。鍋をあけてみたが常食のお粥が食べられた形跡もない。不安になっていると、元気のない妻が戻ってきて…今日は9時にT医院で丸山ワクチンA液を射って頂き、その足でみなと赤十字病院へ行った。血液検査のあと5階の化学療法センターへ行った。簡単な体調確認のあと1階に下り、外科外来でB先生からの呼び出しを待った。合併症として発生した「イレウス」、そして「癒着剥離」手術につい…
[連載]良子という女[注目連載ピックアップ]
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第42回】野村 よし
先生は「副作用は必ず出る」「どの程度出るか、やってみなければ分からない」と言った。…妻の抗がん剤治療が始まった。
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第41回】野村 よし
台所に妻がいない。鍋をあけてみたが常食のお粥が食べられた形跡もない。不安になっていると、元気のない妻が戻ってきて…
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第40回】野村 よし
大腸検査で大量のポリープが見つかった。「危なかった、がん細胞があった」と言われたが、オーバーなおどかしと思っていた。
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第39回】野村 よし
「処置は適切だったのか?」疑問はあった。だが執刀医には完璧な“回答マニュアル”があるはずだ。なら私たちは納得するしかない
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第38回】野村 よし
妻はお茶の「準教授」資格を持っている。お花でも師範だ。私は妻がやっていることに無能だ。
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第37回】野村 よし
「一車線規制…これがお母さんの状態や。」と娘に言った。三車線が二車線になって渋滞。進んで二車線が一車線になると…
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第36回】野村 よし
あの饅頭がいけなかったんだ。ゼッタイ、おなかいっぱい食べてはいけないと、先生に言われた。
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第35回】野村 よし
「開けてみると新札で50万入っていた。…はは、何を買うつもりやったんかなあ。」妻を亡くした友人が食器棚で見つけた紙袋は…
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第34回】野村 よし
妻の冴えない表情が、私の心を重くしていた。今回私の悪い予感はすべて当たった。それを考えるとぞっとした。
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第33回】野村 よし
妻は明らかに好転していた。懸案はオナラである。まだ出ない。早く出てほしい。促すように私は見本を一発やった。
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第32回】野村 よし
昨晩集中治療室に入った妻。疲れてはいるのだろうが、それ以上に“うんざり”しているようだった。いつも笑顔の妻が無表情だった
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第31回】野村 よし
「今夜直ちに手術するしかない」!? 退院予定日が決まるほど回復していたはずなのに。病院に到着すると、妻がICUで…
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第30回】野村 よし
姉は「みんなが私をボケとる言うとること、私はちゃんと知っとるでよ」と言う。私は姉がボケてもさほど辛くはなかった。なぜなら…
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第29回】野村 よし
そんなことしたら、お父さんが病気になってしまう――。「願いのために犠牲を捧げる…妻が退院するまでだ。一生というんじゃない」
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第28回】野村 よし
これだと、昨日入院したばかりの妻との面会に間に合わない。兄の骨を拾うことはできないが、火葬場から空港へ引き返し…
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第27回】野村 よし
「伯父さんが亡くなった」「お母さんが入院した」…娘から立て続けに入った連絡。
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第26回】野村 よし
妻が先に逝ったら、どう生きれば良い? 生きるのがめんどくさくなるだろう。三回忌を終えたら、あとを追おうかな、なんて…
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第25回】野村 よし
水槽から跳びだしたハヤが床に…。妻が明日退院するというときに、何か、「いけにえ」になってくれた気がした。
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第24回】野村 よし
病院を出てぐるっと裏へ回ると、海が見える。妻は「いつもここへ来ている」と言って微笑んだ。こんなに笑顔の可愛い女だったのだ
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エッセイ『良子という女[注目連載ピックアップ]』【第23回】野村 よし
妻は「散歩する」と言って立ち上がった。私たちは後ろに続いた。妻が、やせ細ってしまったように見えた。