老剣はそう言うと、守人を見直した。「どうするって。おれは、皇子様に仕えた身だ。今でも、それは変わらない。命じられたら何処にでも赴く。戦だろうと人捜しだろうと。それだけだ」はっは、と守人は笑う。「おまえは、もう身を引いたんだろう。海の向こうから帰って。厩戸皇子が日嗣の御子になって、そのとき、退く格別の許しを得たはずだ。違うか」「もう昔のことだ。良く憶えているな。他人事(ひとごと)なのに」守人は笑う…
[連載]大王の密使
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小説『大王の密使』【第4回】都丸 幸泰
「不老不死はもちろん、ある。仏法の中に。仏の中に永遠の生はある」
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小説『大王の密使』【第3回】都丸 幸泰
「八百年前の渡来人を捜してほしい。二人と一緒に行ってほしいのだ。」…800年前の人探しに蝦夷へ?皇子様は何をお考えなのだ…
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小説『大王の密使』【第2回】都丸 幸泰
都にて再会するかつての師と弟子 老剣、その懐かしい名前で呼ばれた老子は苦笑し、宮殿へ足を進めた
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小説『大王の密使』【新連載】都丸 幸泰
隋王朝の初代皇帝楊堅 (ようけん)の死後、息子たちによる後継争いの戦いを制した新皇帝。後に煬帝 (ようだい)と諡される皇帝に直接お目見えする機会が与えられて新都大興城の広大な王宮に入る