ばあちゃんは私を思いっきり抱きしめた後、何も言わず私の手を取り、歩きはじめた。ばあちゃんとこうやって手をつないで歩くのはいつぶりだろう。小学生ぶりかな、と記憶をたどる。ばあちゃんの手はシワシワでちょっとカサカサで、でも高校生になった私の手よりも大きかった。手をつないで家の方向と反対方向に歩を進めていると、ばあちゃんの手と私の手はじわじわあたたかくなっていった。しばらくすると、“あたたかい”を超え…
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