第一章・再会の秋

俺たち六回生はここ数年間で何度か会ってはいた。ただし、同級生の親の通夜か葬式のときだった。残念ながらそういう歳になっていた。

重美は相変わらず黒かった。直はどうした? 両ヒザに大げさにサポーターをしている。足を引きずっていた。

「今年の冬にヒザをやってまったがや。あまり走れないんだ」と直。

かなりひどそうだ。

「当たり前だろう。ラグビーやっとったら、さらにひどくなるぞ。やめとけ」と俺。

「皆、やめとけと言っているが聞かないんだこいつ」と平岩。

光先輩も「もう若くない。怪物も歳には勝てんぞ。三月までに治せばいいから無理はやめとけ」。

直は同期の俺たちの言葉は聞かなかったが、光先輩の言葉でようやく引き下がった。

直はフランカー7番だった。フォワードの中で真っ先に飛び出て走り回るポジションだ。腕力だけでなく脚力もすごかった。試合開始一分で相手を病院送りにしたこともある。怪物伝説のひとつだ。走れないのはつらいだろう。

この前の練習で無理してよけいに悪くなったようだ。

この状態で皆を集めてラグビーをしようとしているのか? 人数を集めようと電話を後輩たちにも入れていると聞いた。頭が下がる思いだ。

わかった。わかったよ。直。必ずやろう。三月に皆を集めて記念試合を実現しよう。

このとき俺はそう誓った。皆も同じだったに違いない。先輩たち、同級生たちのこの思い。この皆の行動で「記念試合」がどれだけ重く、熱いものなのか、伝わってきた。