前編
真っ赤なサツキで囲まれたマンションを出て、街を歩き花を買った。
「ママ、元じいちゃんはもう病院にはいないんダョ!」
「うんう、このお花大きくて派手でしょ。これはお祝いの花よ。それにこの箱はお祝いの品なの。今から郭おじさんのところへ行くからね」
「郭おじさん?」
「あなたのお父さんのお父さん」
「じゃあ、じいちゃんだ」
「うーん、だけど若いから、おじさんでよくない?」
「……おじさんでいいよ」
「郭おじさんに子供ができたの。サンマンの十歳下の弟みたいね。仲良くね」
「僕の弟? かわいいかな?」
「もちろんよ。まだ話せないけど、きっと良い仲になれるわ。サンマンはお兄さんになるのだから、しっかりしてね。弟が見てるわよ」