俳句・短歌 四季 2022.03.24 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第98回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 大空おおそらに筋雲すじぐも浮かび流れてる夏が覗いて緑輝く 風薫る緑の草木嗚呼自然生せいの息吹きを吸いつつ生きる 陽も隠れ気候温暖巻雲けんうんのオレンジ色に染まる夕暮れ
エッセイ 『振り子の指す方へ[人気連載ピックアップ]』 【第17回】 山口 ゆり子 妻の姉をソファーに連れて行き、そこにそっと横たえた。彼女は泣き続けながらも、それに抵抗することはなかった 【前回記事を読む】気が付けば、妻の姉に抱き着き声をあげて泣いていた。…妻が流産し幼児退行して2年。こみあげてくるものを耐えられなかったんだ静かに抱きしめ返してくる亜希子の背中をさすりながら、春彦は郁子とよく似た亜希子の温かさが二年の間にうらぶれた心をほぐしていくのを感じていた。あの日、同じように郁子を抱きしめられていたのなら、という思いと、もはや悲しみを共にする同士である亜希子が、どうしても春彦…
小説 『ヒスイ継承』 【第8回】 守門 和夫 「かたいのにどうやって、加工したの?」不可解なヒスイのまがたま。手がかりを求めて「縄文展」へ行くと―。 【前回の記事を読む】「ヌナカワヒメ」伝説…なぜ、いっしょに暮らしはじめた能登で、姫は逃げてしまったのか? 僕の推理としては… …「ヒスイはすごくかたいんだ。マガタマって、知ってる?」「昔の人が、首にかけていたかざりに使われているやつね」「そう。あれにヒスイも使われているんだ」文子が首をかしげた。「かたいのにどうやって、加工したの?」「そう。それが不思議」「ぼくも気になったことがあるんだ」こんどは…