俳句・短歌 四季 2022.03.17 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第97回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 花盛はなさかり地表を覆う芝桜薄紫に足元あしもと飾る 今年初蜻蛉はつとんぼと出逢う江南に初夏の訪れ敏感に告げ 青空あおそらに草木そうもく繁茂風そよぎ紋白蝶も飛び出して舞う
エッセイ 『プレナイト[人気連載ピックアップ]』 【第6回】 天乃 神龕 集中治療室には、変わり果てた夫の姿があった。声をかける私に、肩を揺らして笑ってみせた夫。その笑顔に胸が張り裂けそうになり… 【前回記事を読む】仕事から帰らない夫。携帯には、知らない番号からの何十件もの通知…胸騒ぎがする中折り返すと、その相手はまさかの…ともに永遠に道中では、ドクターヘリの搬送の時点でなんとなくもう元の体には戻らないことくらいは理解していた。低酸素血症なのか高次脳機能障害なのか……。人工心肺でも付けているのか、もしくは蘇生中なのか。まだ小学2年の長男と年長の次男になんと説明したらいいんだろうか。まだ歩け…
小説 『愛[注目連載ピックアップ]』 【第16回】 高見 純代 「私を描いて!」——裸のまま、叫ぶように懇願した。結婚をしないと決めている彼に、私の美しさを覚えておいてほしくて… 【前回の記事を読む】「ここまでだ。…さぁ服を着て」彼は私のおでこにキスしただけ。私は力をなくし、裸のままベッドに腰かけ…私はある思いに駆られ、だんだん声が大きくなった。「私を描いて! 貴方に絵に描いてもらって、永遠に綺麗な私を残して! お願い!」「僕は人物画は描かないよ」「嫌! 描いて!」と私はなかば叫ぶように懇願した。私は直観的に思いついたのだ。結婚しないと決めているこのダンディな男に、生涯、…