俳句・短歌 四季 2020.12.24 歌集「漣の夢」より3首【第1回】 歌集 漣の夢 【第1回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 此の時と春爛漫に咲く桜 友愛感じ涙伝わる 【二〇一二年】 桜色仄かに白い淡紅の 絶美を極めし癒しを呉れた 花盛り茎に着く花木にも花 各種書用自己を表現
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『アキレウスの迷宮』 【第4回】 小池 文平 きっかけは接待ゴルフだった... それ以降、妻は夫の物に一切触れず、コップを買い替え何度も洗う。そしてついに―。 【前回の記事を読む】気になるのは姉の離婚話ばかりで、とぎれとぎれになる会話。先日まで家族だった男性は姉を庇うように話を始めた。 ある年の暮れ、外商部の打ちあげに出入り業者のマツさんも末席に呼ばれ、それが縁でふたりは一緒になった。「だけどね」と言いながら、マツさんは店員の方に空の銚子をふった。「あれは浮気じゃあないよ、断じて。旅行先でのただの遊びのあそびだ。しかもわしは女は途中で帰したんだ!」と、…