出産時の長時間の移動を回避したC・Cさん
C・Cさんは、2006年に病院で出産した後、2008年から2014年の間に北海道で第2子~第4子の3人の子どもをプライベート出産しています。22歳の若さで第1子を出産した際には、出産は病院でするものだと思っており、本州にある実家近くの大学病院で出産しました。しかし、家族の立会いはなく、病院では放置状態にされ、選択の余地もなく会陰切開をされた出産が良い思い出ではなく、後に病院出産に疑問を持つようになりました。
なお、会陰切開とは、分娩時に剪刀で会陰を切開する手技で、会陰の深部や肛門に裂傷がおよぶのを防ぎ、児の娩出を容易にする目的で行われるものですが、『WHOによる医学的に正しいお産を保証する59か条』では、「しばしば不適切に使われたり、不適切に実施されること」の中の一つに挙げられています。
こういった第1子の出産体験からC・Cさんは自宅出産に関心を持ち、第2子の出産には自宅出産を希望しました。しかし、この地域には自宅出産に立会ってもらえる開業助産師はいません。ようやく通院に約1時間半かかる場所に助産所を探し当て、そこで妊婦健診を受けていました。しかし、陣痛が始まってから助産所まで移動する(助産所に行く)のを避けたいと考え、自宅で生まれてしまったことにしようと考えました。
「○○助産院にはかかっていたんだけれども、(略)焦って車に乗ってハラハラするのも良くないと思って、だったら家でゆっくりとここにいていいんだという安心感で産みたかった。緊張もしたくなかった」
私は、C・Cさんが、陣痛が始まってから遠距離を移動することは安心、安全ではないと判断したことと、そのためにプライベート出産を選択したことを否定することはできません。自宅出産を望んでも開業助産師に来てもらえない環境こそが問題だと思うからです。