冬麗や視界九割富士の嶺

私の駄目な句コレクションを披露する。

① 紅葉(もみじ)もみじ赤燦浄土(せきさんじょうど)()りにけり

・作句の意図 記念すべき句会初投句。皆さんに「おぅ、こんなすごい句を作る新人が入ったのか」と驚いてもらうために、とにかく印象的な句を作りたい。そのためにはこれまでの知識を総動員する。三日間考えに考えた末に、かねがね群青世界(ぐんじょうせかい)という造語に大きなインパクトありと思っていた句の、

滝落ちて群青世界とどろけり  水原櫻子(みずはらおうし)

は青い世界を詠んでいるから、私はその向こうを張って赤い世界で対抗することにした。「群青世界」に対して、小椋佳(おぐらけい)の歌「愛燦燦(あいさんさん)」をヒントに「赤燦(せきさん)」、それに紅葉があるのは浄土のような場所として、中七(なかしち)は「赤燦浄土」という造語でいく。上五(かみご)は、紅葉(もみじ)葉だけでは三音なので、紅葉(もみじ)もみじとし、字余りになるが、漢字とひらがなで様々な種類の紅葉を表現。下五(しもご)は、童謡の一節「照山(てるやま)もみじ」から、照りにけりとした。個性的な出来栄えの凝りに凝った句で渾身(こんしん)の自信作。

・結果 「………」(句会場全く反応なし)

現在の私の感想としては、句友を驚かせて我ここにありという作句の意図はさもしさの極み。苦労して得た「赤燦浄土」だが、反応がなかったことは徒労だったのではないか。下五の「照りにけり」は、ただ流したという感じで、もっと他に何か言い得るだろう。意欲ばかりが空回りし、俳句としては作り過ぎで少し痛々しい気がする。