地獄一丁目(じごくいっちょうめ)・二丁目前(にちょうめまえ)
私(わたし)「私(わたし)は青(あお)さん達(たち)のことは何(なに)もわからないんだけど、男(おとこ)と女(おんな)の区別(くべつ)ってあるの?」
青鬼(あおおに)「そんな立(た)ち入(い)ったこと、失礼(しつれい)じゃないか。俺達(おれたち)は男(おとこ)が青(あお)い肌(はだ)で、女(おんな)は赤(あか)い肌(はだ)をしている。お前達(まえたち)にだって、白(しろ)っぽいのや、黄色(きいろ)っぽいの、茶色(ちゃいろ)っぽいの、黒(くろ)っぽいのと、いろんな肌(はだ)の色(いろ)があるのと同おなじだよ」
私(わたし)「なるほど、そうかぁ。角(つの)は? 二本(にほん)の青(あお)さんのようなのと、一本(いっぽん)の鬼(おに)さんもいるでしょう?」
青鬼(あおおに)「随分(ずいぶん)、立(た)ち入(い)ったことを聞(き)くなぁ! そうだ。これは恐(おそ)らく遺伝(いでん)だと思(おも)うよ!」
私(わたし)「下(しも)の方(ほう)を聞(き)いて恐縮(きょうしゅく)だけれど、青(あお)さんの穿(は)いているフンドシかパンツは、本物(ほんもの)の虎(とら)の皮(かわ)?」
青鬼(あおおに)「決まってるだろー、本物(ほんもの)さ。俺達(おれたち)は別(べつ)に殺生(せっしょう)なんかする訳(わけ)じゃない。みんな自然死(しぜんし)の虎(とら)の皮(かわ)で作(つく)ったのを穿(は)いてるんだ。よく、虎(とら)は死んでも皮(かわ)を残(のこ)すと言(い)うだろう。そうなんだ。男(おとこ)は太目(ふとめ)の縦縞(たてじま)で、女(おんな)は細(ほそ)い縞(しま)のところを穿(は)いてるよ」
私(わたし)「青(あお)さんは金棒(かなぼう)は持(も)たないの?」
青鬼(あおおに)「あんな重(おも)いのはもう俺(おれ)は歳(とし)だから持(も)たないが、大王様(だいおうさま)の門番(もんばん)の奴(やつ)はまだまだ若(わか)いから今(いま)でも持(も)って立(た)っているよ。俺(おれ)もいまどき大変(たいへん)だと思(おも)うけど、これは伝統(でんとう)だからな!