地獄一丁目(じごくいっちょうめ)・二丁目前(にちょうめまえ)
お釈迦様は、お前達の言う紀元前の四六六年に、印度でお生まれになり、釈迦族のカピラ城の王子になられたそうだ。そして十六歳の時に結婚されて、やがて一人のお子様が生まれた。
それはそれは何不自由のない幸せな生活をしていたそうだが、ある日、人生の無常を感じて、それでたしか、二十九歳の時に出家なさった。
いろいろな高僧に付いて教えをうけ修行をしたそうだが、結局はご自身でいろいろと命がけの修行をして悟を開いたんだそうだ。それは三十五歳の時だと俺は教わった。そして尊い仏様になられたんだ」
私「それはすごい修行だったのですね」
青鬼「お前はこの話、知らなかったか? それで俺達はすっかり改心したんだ。ところで、なぜかお前は特別に見学を許されたんだから、お前の好きなように勉強していったらいいよ」
私「ありがとうございます。私は日頃、あまり勉強しないせいか、なんだか聞いただけで疲れました」
青鬼「何だお前! こんなことでもう疲れるのか!」
私「うーん。ここへ来る前、たしか頭を強く打ったせいだと思おもいますよ」
青鬼「そうかー、少し眠ってごらん。だけどもうじき地獄三丁目だし、折角見学に来たんだから我慢して見てごらん。俺はもう出口の方ほうに行いく」
私「いろいろためになるお話を、ありがとうございました」
やがて音もなく列車は止まりました。青鬼さんの叫ぶ大きな声が聞こえてきます。