ビッグ・コレクターは、部族の食糧確保のため、駿馬を族長からもらい受け、狩人たちを引き連れ、全米を行脚していた。白人たちによる領土の侵食のため、限られた生活圏の中では、食物が底を突くようになっていた。

彼女は、バッファローの群れの習性を知り尽くしており、サウスダコタからネブラスカ、アイオワやイリノイまでの地理までも熟知していた。この初夏の時分、バッファローたちは必ずオマハにいると判断し、そこに到着したビッグ・コレクターが見たものは、凄惨かつ奇妙な光景であった。

数え切れないほどの、皮を剥がれたバッファローの死体の中、顔を彩った半裸の大男が、一人倒れている。珍妙な光景に、狩人たちは笑いだしたけれど、ビッグ・コレクターは一人黙り、半裸の大男を凝視していた。

「彼はずっと苦しんできたのだろう。だがしかし、今何かに覚醒した気がしてならない。彼が目覚めたら、連れてきなさい」

ウルフの意識が戻ると、見知らぬ男たちと、痩身の女がこちらを見つめていた。思わず臨戦態勢を取ろうとすると、コレクターが言った。

「私たちは敵ではありません。殺す気なら、あなたが寝ている間に既にそうしています。何があったのですか。あなたは誰ですか」

「俺はライジング・ウルフ。元コマンチ族の戦士だ。わけあって部族を出て放浪をしていた。命をないがしろにされた、哀れなバッファローたちを見て、祈りを捧げずにはいられなかった」

ビッグ・コレクターはウルフの瞳に宿る悲しみの深さに、静かにうなずいた。

「あなたの気持ちはわかります」

そして、気高い孤独な戦士にこう提案した。

「行く所が決まっていないのなら、私たちと共に来ませんか」