第1章 集いし者たち
アラパホ族の客分となったウルフだが、その狩人としての能力には、誰もが舌を巻いた。素早く正確に弓をさばき、遥か彼方まで槍を投げる。鹿たちの群れを待ち伏せ、囮を使いおびき寄せる能力まであった。ウルフの表情には、放浪と自問自答を経て、以前にはなかった深沈な面が帯びるようになっていた。
しかし、新たな仲間たちと旅を重ねるにつれ、彼はかつての天真爛漫さを取り戻しつつもあった。コレクターは密かにこう思っていた。
いずれ、我らがアラパホ族の地にも、白人たちが襲ってくることは間違いない。ならば、このライジング・ウルフを戦のリーダーにし、彼のいたコマンチ族と同盟を結ぶ。自分ができることは、決戦に備え、食糧や武器弾薬を備蓄する、それだけだ。
その日から、コレクターはいつにも増して積極的になった。彼女の作った保存食品、ペミカンは、部族のあらゆる女たちに受け継がれ、洞窟の奥深くに少しずつ貯められていった。鮭の燻製のための小屋も、川の畔に多く作られた。彼女はまた野生の羊たちを手懐け、放牧を始めた。羊毛は防寒具に、肉は塩漬けに、乳は発酵させ、長期保存できるハード・チーズを作る。
コレクターの指示は的確で正確なものであった。山では松の実や栗やドングリを採取し、粉にひいて焼き、乾パンを拵えた。野生の葡萄は茎ごと干した。部族の子どもたちも動員し、弓や槍やトマホークの大事な材料となる堅く丈夫な木を、多く切りだした。そして、それは女たちの手で、次々と鋭い刃物に磨き上げられていった。