第1章 集いし者たち
偉大なる我がボス ミスター・ザ・キング・プルート様
私は今、オマハの近く、ミズーリ河とカーター湖の間の台地にテントを張っています。
どうやらこの近隣はまだ荒らされておらず、時折、バッファローの群れを見ることがあります。腹の膨れた雌どもが多く、来春にはバッファローが増えることは間違いありません。
絶好の狩場でありますが、一つ問題があります。
恐らく、アラパホ族と思われるインディアンの連中が、この近辺をうろついているのです。こんな下劣な連中がいては、狩りの邪魔になるでしょう。
しかも、この連中を仕切っているのは、どうやら女のようです。犯すも良し、殺すも良し、奴隷にするのもまた良し、いかがなさいますか。
来春、オマハでお会いできることを心待ちにしています。
シンシアリー・ユアーズ ニック
果てしなく続く砂漠を越えると、大平原が広がっていた。
全米各地をさまよい、何か収穫があったのか。確かに白人の横暴ぶりは嫌というほど見たし、無抵抗なインディアンの姿は、この目に焼きついている。
しかし己の力はあまりに無力であり、いつになれば、仲間をみつけることができるのか、見当もつかない。
途方に暮れるツー・サンズの目は、岩陰に、何か動くものをとらえた。警戒しつつ近づいていくと、そこには、足を痛めた少女が横たわっていた。
年恰好は、ツー・サンズと同世代であろう。縮れた黒髪に大きな鼻、褐色の肌を持つその少女が、黒人とインディアンのハーフであることに、ツー・サンズはすぐに気づいた。
衰弱した少女に、ツー・サンズはすぐさま、バッファローの胃袋で作った水筒を差しだした。
少女は、それを受け取ると、うまそうに喉を鳴らしながら一気に飲みあげた。
一息つくと、少女はツー・サンズに向かって、早口でまくしたてた。