カラスのなかでも、いろんなタイプや考え方があるのだとぎんちゃんは思いました。
「カラスさんの住める大きな自然保護区かな。難しいけど検討するよ。都会にいて、ここまで近くにいるのだから、互いに協力しないと」
「何をお願いしたいの?」
「地震学者は地震の直前予告はしないから、カラスさんに直前予告をお願いしたいよ。地震前に発生する磁場の変化を感じられるだろう? お願いするよ」
ぎんちゃんの言うとおり、カラスは磁場の変化を感じることができます(注釈)。
でも、それを人間のために利用するなんて、いまひとつ腑に落ちません。
「知ってどうするの。どうせ被害が出るのに?」
「カラスさんの感度に近付きたいのさ。生き物としての嫉妬だよ!」
人間って何を考えているんだか。そう思ったカラスはぎんちゃんに言いました。
「相容れない微妙な距離感だね」