事の重要性を認識した補佐が、「輪転機は回したか?」と大声を出した。「はい。回ってます」という返事。

「止めろ、止めろ、止めろ」と中止を告げた。このようにして、翌日の配布資料を印刷中であった輪転機は止まった。補佐は、とりあえず印刷機を止め、上司と協議して連絡するとのことであったので、厚労省を辞去し、ホテルに帰った。

後刻、電話が入った。翌日の検討会では、ポンチ絵は提示しないとのことであったが、翌日、検討会に出された資料では、ポンチ絵は果たして削除されていた。

しかし、この問題は解決された訳ではない。筆者が提示したポンチ絵は採用されていないのである。手書きの図をパワーポイントで作り直した(図2)。

図2:厚労省総務課長へ筆者提示ポンチ絵(事前打ち合わせ資料)

医療安全推進室長では、埒があかないと考え、この図2を持って、12月2日、法令系上司である総務課長に直談判に行ったのである。

筆者と井上清成顧問弁護士と厚労省に出向き、総務課長と面談、図2のポンチ絵を提示したところ、医療法で規定している医療事故の定義の解釈は図2の通りであることをあっさりと認めてくれたのである。

これで、医療事故調査制度の根幹である医療事故の定義が筆者らの主張通り進むこととなった。第4回検討会で厚労省は、医療事故の定義図として、図3を提示した。

図3:第4回施行に係る検討会提示厚労省資料(医療事故の定義図)

これが、施行に係る検討会の結論としての「医療事故の定義」となるのである。