俳句・短歌 四季 2021.03.18 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第13回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 春光しゅんこうを浴びて街路の木々の葉が 露つゆ有るように萌えて輝やく 緑中りょくちゆうに紅葉映える鮮やかさ 紅一点に凝視ぎょうしの目行く 朝空あさそらに野鳥一羽の飛翔ひしょう見る 人より先の無重力哉
小説 『不確かな真実』 【新連載】 和亭 正彦 都内のマンションの一室で無残な姿で発見された女性の遺体。捜査本部は容疑者と思われる人物の特定を急ぐが… 凄惨な事件であった。新年早々の一月八日、新宿を起点として東京、神奈川を貫く東神電鉄の西城公園駅にほど近い瀟洒なマンションの一室から女性の遺体が発見された。遺体には、鈍器で殴られたような後頭部の陥没と胸部に致命傷になったと思われる数カ所の刺し傷があったが、傷はそれだけではなかった。大きく切り裂かれた腹部からは、まるで腑分けをしたかのように内臓の一部が体外に引きずり出されており、皮膚がめくれ返った首…
小説 『雪女』 【第8回】 佳 英児 「私ね、悪意があって悪いことした人には、相応の報いがあっていいと思う」彼女は美しさとは裏腹に、過激な論を語り出し… 【前回の記事を読む】ゴルフ場で急接近した彼女を車で迎えに行くことに。こんなことが起こるなら、奮発して高級車を買っておけばよかった…「でも、事故に巻き込まれなくて、よかったよ」「そうよね。でも、距離があったし。私ね、悪いことした人が、報いを受けることってあっていいと思うのよ。さっきの車の運転手はまるで道路が自分一人のものであるかのような運転をしていましたよね。あんな危険な運転をして周りの運転者に怖…