俳句・短歌 四季 2021.03.18 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第13回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 春光しゅんこうを浴びて街路の木々の葉が 露つゆ有るように萌えて輝やく 緑中りょくちゆうに紅葉映える鮮やかさ 紅一点に凝視ぎょうしの目行く 朝空あさそらに野鳥一羽の飛翔ひしょう見る 人より先の無重力哉
小説 『春のピエタ』 【第18回】 村田 歩 私の妹は、5年前に殺された。高校二年生だった。自宅のすぐ傍で車の中に引きずり込まれて、河川敷まで連れて行かれ… 「早い時間ならお客さんはいないと思ってたのに、本当にすみません」「ああ、いいのよ。若旦那は特別なの。昼の三時には仕事終わっちゃう人だから。それにわたしのお客じゃないしね」意外に屈託のない話し方であたしに座るように促すと、自分も隣に座り、長い手を伸ばした。「ちょっと、あそこの神林さんのバランタインで一杯作って」バーテンの男性に命令する。こういうお店は経営者の次に偉いのはホステスさんなのだろうか。佳…
小説 『迷いながら揺れ動く女のこころ[人気連載ピックアップ]』 【第4回】 松村 勝正 家政婦になったときから、ご主人を異性として意識したことはなかった。しかし昨晩の出来事で、奥様に対する小さな嫉妬心が芽生え… 【前回の記事を読む】あの時、家政婦は嫉妬していた…? 家に来て20年。夫の入浴介助は彼女の仕事。それを私が気まぐれで奪って…四方八方から飛び交う市場独特の掛け声や買い物客たちの行き交う足音で、二人はしばらく無言でいた。市場の入り口に差し掛かった所で、美代子が「美月さんは毎日大変ね。私、昨日主人の入浴介助をしたでしょう。初めは軽く考えていたのね。でも無理だと悟ったわ。やはり美月さんにお願いします」…