俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2021.01.08 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第58回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 蛙鳴く声よろこびし後鳥羽院 御陵の池こんこんと湧く 隠岐の海を照らす入り日にまむかひて 断崖の牛うごかざりけり 海風のよせくる丘の野大根 波のごとく白き花は吹かるる
エッセイ 『ねぇねぇみかどのおばさん』 【第3回】 六谷 陽子 不良とつるみ始めた近所の男の子…。駄菓子屋のおかみが決行したのは「えこひいき」作戦!? 一 みかどを閉店します富山の片田舎から下町に嫁いだ頃は、母も人間関係で苦労したようです。当時は、各家庭には水道は通っておらず、共同水道を十世帯くらいで使っていたのです。そこに行けば、他の誰かが必ずいます。特に水を使う時間帯は同じだから、会わずにすませる、というわけにはいかなかったようです。年配のおばさんたちは、個性的で嫌味を言う人もいれば、優しい人もいます。年配らの会話を笑いに変えて楽しむ若妻も…
小説 『アザレアに喝采を』 【第3回】 藤咲 えこ このまま付き合いが続けば結婚するかもと思っていた彼。なのに、あることがきっかけで気持ちが冷め… 栞が踵の高い靴を履くと、二人の身長差があまりなくなることを除けば、小島の方が栞に夢中だったことで二人の付き合いは学生にしては長い間上手くいっていた。小島はクリスマスが近づくと、都心にある高層ホテルのメインダイニングを早くから予約していた。それを聞かされた栞は、嬉しいよりも何を着ていけばいいのだろうとおじけづいてしまった。ホテルのメインダイニングでのクリスマスディナーが、まだ学生の二人にとっては、…