英国国立ウェールズ大学経営大学院にて医療経営学修士号を取得した臨床医が、現代の医療経営の諸問題を追及します。
環境分析と戦略論
チャールズ・ダーウィン(1809-1882)は“最後に勝ち残る種は大きな種でも強い種でもない環境変化に機敏に対応する種である”と述べており、環境変化への対応が生き残るために最重要であることを示唆しています(適者生存)。
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しかし、環境変化はゆっくりと起こるため、その環境変化に気づけない場合もあり、気づいた時には大きな変革が起こり、自身の価値が陳腐化していたということがあります。
皆様はゆでガエル現象という言葉をご存じでしょうか。
水を入れた鍋の中にカエルをそっと座らせておき、今こそ飛び出す時だと悟られぬように、極めてゆっくりかつスムーズに温度を上げていくと、カエルは結局飛び出さずにゆで上がってしまうという疑似科学的な作り話(quasiscientific fable)ですが、外部の環境変化がゆっくりだとそれに気づかず、気づいた時にはゆでガエルになっているというたとえです。(作り話なので実際に実験するとちゃんとカエルは飛び出るようですが)。
そこで戦略を立案する際には、まず最初に自身が置かれている環境を十分に分析する必要があります。環境分析のフレームワークについて解説しようと思います。
1.外部環境分析
・マクロ環境分析(PEST分析)
マクロ環境分析とはP=Politics(政治面)、E=Economy(経済面)、S=Society(社会・ライフスタイル面)、T=Technology(技術面)という4つの分野にマクロ環境を分割して、自社(自院)が受ける影響を分析していく手法です(図表1)。
・P=Politics(政治面):法律、税制、政権など
・E=Economy(経済面):景気動向、インフレ、デフレ、為替、株価など
・S=Society(社会・ライフスタイル面):人口動態、流行、世論、教育、環境など
・T=Technology(技術面):情報技術(IT)普及、イノベーション、企業の社長や、病院長の新年の挨拶など
では、だいたいPESTの順で話されます。例えば、「アメリカではトランプ政権が誕生しましたが(P)、TPPは決裂し(E)、…国内では高齢化社会を迎え医療費が高騰し、地域の医師不足が深刻化し(S)、…今後スマートフォンの普及と電子カルテによって(T)…」のような感じです。皆様も組織の代表としてマクロな視点でスピーチをする際にぜひこのPEST分析を活用してみて下さい。