第2章 人類滅亡のリスクと回避

B 人為災害による人類の滅亡 

1 地球生態系の破壊及び資源の枯渇

1.森林の減少

(1)光合成の減少

森林の減少により光合成が減少しますと、大気中の二酸化炭素が増加し酸素は稀薄化します。

二酸化炭素は温室効果ガスの一つです。温室効果ガスとは、地球の大気中にあって太陽光で生じた地上の熱の発散を妨げる温室効果により、地球温暖化をもたらすガスのことで、二酸化炭素、メタン、一酸化窒素、フロンガスなどの気体の総称です。

気体の濃度当たりの温室効果を意味する温暖化係数は、各種気体に比べ二酸化炭素は一番低いのですが、その大気中の総量が他の気体に比べるべくもなく多いことから、二酸化炭素は地球温暖化の主役になっています。

二酸化炭素は、化石燃料(石油、石炭、天然ガス等)の消費やセメントの生産などにより大量に大気中に排出されて増加します。対して、森林が減少しますと二酸化炭素を資材とする光合成が減少しますから大気中の二酸化炭素はその増加分を減少し切れずに残り増加することになります。

我々は生活活動のためとはいえ、大気中の二酸化炭素の増加と光合成を通してその減少に貢献する森林を破壊することにより、双方から二酸化炭素の増加に関与していることになります。地球全体の温度が2度(1.5度という説もあります)以上高くなると南極などの氷が解け海面が数メートル上昇すると考えられています。

海面が上昇しますと、サンゴ礁の島々や国々そして東京やニューヨークを含む世界の多くの都市の主要部分が水没することになります。気候の変動が起こり、異常気象や台風や森林火災が多く発生する要因にもなります。

又、多数の植物の適温域は赤道から北へ又は南へ移動しますが、植物の耐えうる移動の限界を超えたスピードで気温が上昇しますと、適温域に追いつき到達できずに絶滅する植物が続出することになります。