【前回の記事を読む】私達が折につけ口にする「神様」って、そもそも何なんだろう?

第2章 人類の持つ宇宙観

1 神という宇宙観

2.神の種類

(ハ) 汎神論の神 

汎神論とは、辞書では「あらゆるものに神が宿り、一切万有は神であり、神と世界は本質的に同一であるとする宗教観。哲学観」と解説されています。

しかし、一切が神であるというのなら、神は世界全体の形容詞にすぎないことになります。そうしますと、我々人類迄もが神であるということになりますから、有神か無神かなどという議論をする意味も必要もなくなります。これでは、汎神論は有神論のふりをした隠れ無神論のようにも見えます。

(ニ)宇宙人 

宇宙人を神と見る見方です。宇宙人が存在していて、時空を超克し地球や他の天体を自由に往来できているとすれば、宇宙人の科学文明も精神文明も我々人類のそれを途方もなく凌駕していると考えられます。

しかし、そのような宇宙人に遭遇できたとしても、それで神を発見したことにはなりません。なぜなら、神の存否の議論は、「宇宙万物の創造主たる神は存在するのかしないのか」ということであるところ、宇宙人も人類と共に宇宙万物に包摂されているからです。

なお、宇宙人は人類とは違い神の創造物ではなく神そのものであるという向きもあるようですが、その点を云々することはさておき、百歩を譲って宇宙人を神ということにしても、それで有神・無神の議論が終結することにはなりません。そのような主張は何の役にも立たない無力なものです。

なぜなら、例えば、後述する神の存在証明に対する反論の中にも詳細ですが、存在するものにはその創造主が必要であるという前提に立てば、宇宙人である神は何者が創造したのかという創造主に関わる終わりのない無限後退の問題に遭遇するからです。

(ホ) 物理法則 

この世界が物理法則に支配され動いているのであれば、物理法則こそ神である、と見る見方です。但し、この法則は神に由来する自然法則と同義語であるとも考えられます。なぜなら、自然法則が物理法則に劣位するのであれば、神も物理法則に従っていることになるからです。