第2章 人類滅亡のリスクと回避
B 人為災害による人類の滅亡
1 地球生態系の破壊及び資源の枯渇
2.フロンガスによるオゾン層の破壊
フロンガスは人体に無害で引火性は低く安定した人工化学物質です。冷蔵庫やエアコンの冷却媒体や色々なスプレー用噴射剤として用いられて来ましたが、成層圏に達しますと紫外線の作用で塩素を発生し成層圏に拡がるオゾン層を破壊します。
オゾン層が損壊されますと、紫外線をブロックする作用が薄れ、地上に達する紫外線が増加しますが、紫外線は人体にとっても(皮膚がんなど)他の動植物にとっても有害です。オゾン層が消滅するようなことになれば、紫外線の直射を受けることになり生物は生きて行けません。
今では、南極上空をはじめ全地球的にオゾン層の希薄化が進行しています。問題は、フロンガスが不活性で安定しているためそのまま分解せず長期間対流圏に滞留した後、拡散により、これまでに排出したもののうち、今後100年間で成層圏に達するのは10%に過ぎず、影響は数世紀に及ぶ恐れがある、ということです(図解雑学生態系児玉浩憲著ナツメ社2000年)。
このことは、これ以上フロンガスを使わなくなっても(既に基本的には国際間合意が形成されています)、これ以後数世紀に亘ってオゾン層の希薄化が進行する恐れのあることを意味します。
我々は既成の器機の中にあるフロンガスを大気中に逃がすことなく確実に回収すると共に、可能であれば、大気中に残留しているフロンガスが成層圏に達する前に中和・分解するとかして、オゾン層のこれ以上の損壊を阻止しなければなりません。
さらに、可能ならば、人工のオゾンを供給してオゾン層の完全修復を目指さなくてはなりません。従って、早急にこれらのための研究体制が敷かれることが切望されます。