俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2020.12.02 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第18回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 いっせいに稲穂が出でてしらじらと 花は炎暑の日差しをあびる わが庭に稔りし黄金の穂を垂れて ついばむ雀の声さわがしき 一束の稲をつかみて鎌よせて さくさくと刈る音のさやけさ
エッセイ 『良子という女[注目連載ピックアップ]』 【第7回】 野村 よし 「あなた、私は幸せでした」…妻は状況を直感していたのだ。私は言葉を返すことができず、妻から離れた。 【前回の記事を読む】「お母さんが嘔吐を繰り返してる。いま救急車出発した」娘からのメール。私は結婚式の帰りの新幹線の中で、酒を呑んだし、雨だし…私の心臓は躍りだした。先生はAという御自分の名札を見せた。若い先生だった。A先生は低い声でゆっくりと話した。それが私の耳には聞き取りにくかったが、要は、「腸閉塞は確実にあります」「問題は腸閉塞が何を原因として起こっているか、です」「一番考えられるのは“大腸…
小説 『終恋 [人気連載ピックアップ]』 【第8回】 高生 椰子 うつ&自己免疫疾患で37キロ。死を覚悟した私は、もう一度彼に会いたくて呼び出した。だが再会はたったの10分。彼には妻子が… 【前回の記事を読む】バイクに乗るのも、二人で喋るのも初めてだった。「しっかり持たなあかんで」「うん…」「違う、もっと抱きつかんと落ちるで」私が終活を始めたのは10年くらい前からだ。初めは転居を繰り返すうちに断捨離にはまり、ミニマリストを目指していた。シンプルな生活は物欲をなくしてくれた。最小限のものだけで生活することは部屋だけでなく、心もスッキリさせてくれた。そのうちに自分の「死」を意識するよう…