俳句・短歌 歴史・地理 短歌 平安の都 2020.12.01 歌集「花と散りにし」より三首 花と散りにし 【第17回】 松下 正樹 平安末期、国を二分する戦いが起こった。それは保元の乱と呼ばれる戦乱であり、古代から中世へと、貴族政治から武家政治へと時代を切り拓いていく端緒となった。 この乱の原因である天皇家と藤原摂関家の内紛から崇徳院の配流という結末までの経緯が詠まれた創作短歌を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 神職がこのありさまに異を唱ふここに弓矢を帯びてはならぬと 腹の虫をさめかねたる郎党があやふき威嚇の矢を放ちたり あな不思議放たれし矢は空に舞ひ神殿に居し人を傷つく *久安(きゅうあん)三(一一四七)年六月十五日、事件発生。清盛三十歳。
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『高校生SM 』 【第2回】 大西 猛 私の体を滅茶苦茶にしたあの人は、さえない中年の教師だった。前の席の女子が思わず「キモイんだけど」と漏らすような。 あの人は私が通う高校の教師だった。高校は県でも有名な進学校で、周囲を田んぼに囲まれた小高い丘の上にあった。文武両道を掲げる校風で、広い敷地には野球場から陸上競技場、テニスコート、武道場まで整備されていた。特に野球部はかつて甲子園に出場した実績があり、春夏の予選会ともなると、学校中、さらには町の期待を一身に浴びるほど有名だった。あの人とはじめて会ったのは入学して最初の授業である世界史だった。第一印…