4 今だから思うこと

パパが亡くなった当初、同じ家なのに、全然違う家になった。

私だけがそう思うのか? 家具の配置も変えていないのに、“全く違う家だ”どう説明すればわかってもらえるかはわからないが。とにかく居心地が悪かった。

そんな家も、今は、パパがいた時の家に戻ってはいないが、少しずつ我が家になってきた。捨てられない物に囲まれているけれど。

私たち夫婦は時々喧嘩をした。大きな問題から、たわいもないことまで。パパは物を捨てない。これは生前最後?にしたパパとの大喧嘩である。

男の人にはあるあるかもしれないが、パパは数年前の雑誌さえも捨てない。『推し』がいて取っておくならわかるが、そもそも、雑誌って流行りを知るためのものではないか?

何年も前の雑誌を、その道に関わる人でなければ、おそらく後々見ることはない。1冊や2冊じゃないリビングだけでも30冊くらいはあった。

この際、寝室やパパの部屋にある雑誌は追々考えるとして、まずはリビングにあるその30冊を捨てよう!と思い、とりあえずビニール紐で綴じて、ゴミ収集の“雑誌を捨てられる曜日”まで置いておいた。

そんなある朝、パパがそれを見て激怒した! 「捨てないでよ!」

それにイライラした私も怒鳴り返した。どんな会話だったか覚えていないが、近くにいた当時6年生くらいの娘はビックリして、なぜかは謎だが、その喧嘩をiPadで録画していた???

結局、私も冷静になって、パパがとっておきたいなら、しばらくは置いておくかと思ってそのままにしておくことにした。

半分は、忘れた頃に捨てようと目論んでいたのだ。これにてこの喧嘩は終わった。ちなみに先日一度だけ、娘が録画したiPadのこの動画をサラッと観たが、しばらくキューと胸が苦しくて、後悔しかないので、全編はいまだに観ていない。

娘が消去していなければ、いつか観られるかなぁ。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

👉『ボタンのありか』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】どのような経緯で二人きりになったのか、どうしてホテルに行くことになったのか覚えていなかった

【注目記事】中学教師の彼と2回目は部屋でやった。マンションへ向かう車内で「まずいな」と下校中の生徒たちの横を通りすぎようとすると…

 

ゴールドライフオンライン(GLO)は、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン(GLO)編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp