今回もこの期間に何名で誰がどのくらいの日数来てくれるのかと専務に確認したら、お前のところは同じ会社じゃないし水産は休みになるので誰も来られない。もしどうしても来てほしいのなら休日出勤手当と時間外手当をお店が出すのなら検討するとの回答でした。

その対応にびっくりしたと同時に腹が立ってきました。この5名でこの超繁忙期を乗り切るなど到底無理ですし、それをどうやって営業しろというのか考えれば考えるほど怒りがこみ上げてきました。この経験こそが私が腹をくくるチャンスだったと、今思えば感謝しています。

選択肢としてはお店を毎日開けないとか、出す商品数を絞るとか色々あきらめる選択はあったと思いますが、私が考えて考え抜いて出した結論は、お店は通常通り開ける。そして本社にはもう頼らない、と覚悟を決めました。では人はどうするか? 実家の母や妻にも手伝ってくれるようお願いしました、給料はそんなに出せないが、売れればいくらかお礼はしますという程度の条件でした。

なんとよさこい初日に黒潮町佐賀の婦人部という親世代の方たちが3~4人来てくれました。当時妻は二人目の子供が1歳になっていない頃だったので、手伝ってもらうことは出来ませんでしたが、実家の母や正一社長の奥さんの里寿さん初め数名が来てくれました。そのおかげで初めての8月を乗り切ることが出来ました。

今でも覚えていますが、単月で物販込みで600万の売り上げを記録しました。一日もお店を休まず働き続けて出した結果に、物凄く達成感がありました。

私は里寿さんにはひろめ市場店オープンの時ばかりでなく、それまで随分お世話になりました。

里寿さんは正一社長より6歳年下で若い人たちの面倒見がよく、私もよくお酒を飲ませてもらったりご飯を食べさせてもらいました。高知でよくいう〝はちきん〟という言葉がピッタリの人です。

はちきんとは男まさりで、グズグズしている男の尻を叩いてはっぱをかけるような女性への尊敬を込めた褒め言葉です。ちなみに土佐の男は〝いごっそう〟が多いと言われます。いごっそうとは頑固者、気骨がある男、一徹者の総称です。

私は明神水産ではない別の子会社で飲食店をやっているのだから、今後は明神水産に当たり前のように頼ったり甘えたりするのはやめよう、このお店は私がやると決めたのだから全ては自己責任で問題を解決していくという本当の意味での覚悟が出来、自信もついてきました。

 

▶この話の続きを読む
一日も休まず朝から晩まで働いたのに、黒字はたった60万円。「嘘だろ…」と愕然。利益が出ない原因を自分で調べ始めたところ…

👉『鰹がくれたこの道を』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】どのような経緯で二人きりになったのか、どうしてホテルに行くことになったのか覚えていなかった

 

ゴールドライフオンライン(GLO)は、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン(GLO)編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp