【前回の記事を読む】「もっと美味しくしたい」会社に隠れて鰹の試作を繰り返した私。商品を変えるなと叱られたが「美味しくして何が悪い」と反論。その結果は…

第一部 自叙伝

Ⅲ 飲食業に飛び込む

元祖 塩たたきの完成

ただ何と言っても明神水産から納品されている完成品のたたきに比べると圧倒的に美味いと自信がありました。このたたきをお客様に提供出来ればきっと美味しいと喜んでくれるはずだと想像するだけで心が湧きたってくるのです。

越えなくてはいけないハードルは沢山ありましたが、何よりお客様の喜ぶこととこんなに美味しい鰹のたたきを作れる働く側の喜びを考えると、いくら障害があろうと会社側から文句を言われようとあきらめるという選択はありませんでした。

この構想から半年ぐらいの準備期間を経てやっと商品として完成することが出来ましたが、周りからは鰹のたたきを注文ごとに焼いて焼きたてを提供するなど無理だ。ましてやひろめ市場のような客数が未確定な屋台のような業態では絶対に回らないし無理だと反対されました。

焼きたてを提供するためにはお店を改装しなくてはなりません。当時のリニューアルオープンに対しての再投資額が500万~600万だったと思います。一号店が300万ぐらいだったので再投資に関してはなかなか当時の社長はOKを出してくれませんでした。

何度も却下されましたがどうしてもと粘ってお願いをしたところ、条件として売り上げが上がらなかったらお前の給料を下げるがそれでもいいかと言われました。私はお客様や従業員が必ず喜んでくれると信じていたので、OKしてくれるのならそんな条件は何ともありません。本当の問題はそこからです。

商品はこれまで明神水産でたたきになった物を仕入れていましたが、今度は焼く前の原料仕入れに変更してもらわないといけないし、それを自分たちが当日必要な数量を解凍して自分たちが焼き、その後カットして盛り付けて提供するという作業になるので手間がかかります。

その分明神水産では作業が減るので安く出来ないか価格交渉をしました。そして一旦解凍したら当日しか使用できないので、最低必要量の解凍については一節一節を真空パック出来ないかとか、藁を店舗で焼きやすくするためにカットして段ボールに入れた企画商品を作って欲しいという要望などについての交渉や金額交渉を重ねました。

店舗の方もどうやって店頭で藁焼きをするのか設備も含めて知恵を絞りました。

どうしてもやりたいという強い思いで突っ走りいろんな人に協力してもらうことでとうとうお店をリニューアルオープンすることが出来ました。