【前回の記事を読む飲食店の店長になった私。「5人で繁忙期を乗り切れ」本社からのヘルプはなし。それでも店を休まず営業した結果、売上は…

第一部 自叙伝

Ⅲ 飲食業に飛び込む

経営について考える

9月半ばになると月次決算も締まり8月の数字が上がってきます。黒潮町の明神水産本社に呼ばれたので自信満々で乗り込みました。8月単月の結果を見せられ愕然としました。黒字がたったの60万でした。

当時の私の給料は残業代なしの固定給で30万でした。一カ月のうちで一日も休みなく朝から晩まで働き詰めで利益がたったの60万。オープン以来の赤字を埋めることも出来ない金額に力が抜けてしまいました。

直属の上司である明神水産の専務から、なかなか頑張ったなどと言われても嬉しくも何ともなく、見せられた数字に「噓だろう、信じられない」とただ茫然としていました。

明神水産の総務からも社長からも何の対策や指示や助言もなく、問題を考えようにも何のデータもなく、会社もこれまで飲食業をやったことがないので誰に聞いてもわかりません。当然商売や経営などやったことのない私にはさっぱりわかりませんでした。

いくら悩んでもどうしようもないので誰かに聞いてみようと思い、当時隣で営業しているかごう屋さんという、まぐろ丼がメインの海鮮丼屋さんの飲食事業部のマネージャーで片山さんという方がいらっしゃったので、この方に相談してみようと思いました。

このお店は造船事業、ホテル事業、レストラン事業、マグロ漁船事業、など幅広くビジネス展開されている高知県の企業で、個人事業主が営業しているひろめ市場の中では珍しい存在でした。この方に明神丸の月次のP/L(損益計算書)まで見せて、こんなに働いているのになぜ利益が出にくいのか、どうやったら利益が出るのか教えてほしいと相談しまくりました。

私はわからないことはどんなことでも聞いて回ります。頭を下げて聞くことに対しての抵抗やプライドは全くありません。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざがありますが、わからないことに時間をかけて悩むよりも聞いて教えてもらう方が圧倒的に早いです。

すると一番は食材原価が高すぎると言われました。飲食だと一般的に原価率30%前後、次に人件費率も同じく30%前後で合計60%くらいが一般的な飲食店の目指すべきコストバランスだと教えてくれました。

そのバランスでみると食材原価率が60%、人件費率が15%だったのです。F/Lコストが75~80%では到底利益が出る訳ないと納得しました。食材原価のほとんどは鰹で、鰹の仕入れ先は全て明神水産です。