報告書を簡単に作ってから、急いで病院に行った。麻衣が義父と廊下にあるソファに座っていた。
「ママは本当にひどい。今頃来て。おじいちゃんが大変だったのに」と麻衣は私をなじった。
「ごめんね。どうしても外せない仕事だったのよ。これでも急いで駆けつけたのよ」と謝るが珍しく娘がふくれっ面をして怒っている。
「麻衣ちゃん、そんなに怒らないでいいじゃないか。おじいちゃんは大丈夫なんだから。ママが来たから帰ろう」と義父はケロッとして言っている。
「おじいちゃん、検査を受けていないんだから帰れないんだよ。お医者さんからさっき頭の中に血がたまっているかもしれないから検査をしましょうと言われたでしょう」と麻衣は義父に声を荒らげている。その口調が「だからさ~、さっきから何度も言っているでしょ」と切れ気味に聞こえた。
麻衣は義父との「帰る」「帰れない」という攻防が続いていたため、かなり疲れているようだった。
ついこの間、新聞で高齢者は検査を受けたがらないが、病院としては後で大事になることを心配して検査をするところが多いという記事を読んだ。
「そういうことなのね」
麻衣が、私に八つ当たり気味に怒鳴ったことも納得できた。
「お義父さん。私は来たばかりなので、とりあえず先生に話を聞いてきます。先生から許可が下りたら帰りましょう。それまでもう少し待っていてください」と頭を下げると、義父は「悪いね。迷惑をかけてしまって。大丈夫なんだけど帰るには先生の許可がいるから、頼んできてもらえないか」と言う。
「医師と話をしたい」と看護師に言うと「しっかりしているように見えるけれど、少し認知症状が出ている可能性もありますね。先生や私たちの言うことに耳を貸さなくてお孫さんが困っていましたよ」と言う。
「認知症状ってまさか」と不安を覚えながら医師に面会すると「やっと来てくれて助かりました。実は『検査をしない』と少し興奮されて、お孫さんになだめられてやっと落ち着かれたところだったんです」と言われた。
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事故に遭ったのに「検査したくない」「帰りたい」とゴネる義父…困っていたら突然「検査を受ける」と言い始めた。その理由は…
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