【前回の記事を読む】やっと話せた時、妻は「その顔が嫌い」と…僕は仕事で毎日へとへとだから、共働きの妻に、常に居心地のよい家庭作りを望んでしまい…
二 葛藤
敏のページ
美幸の言葉を聞いて、自分が親も含めて大切な家族をないがしろにしてきてしまったことに、改めて気づかされた。あえて自分から言いづらいことを、納得できるように話をしてくれた美幸に感謝した。麻衣にも悪いことをした。自分のふがいなさを痛感した。
「ママと話をした。おじいちゃんと今度ちゃんと話をして仲直りをするつもりだ。ママと仲直りをしたから帰ってきてほしい」と麻衣にメールした。
「お風呂に入っておいで。今日は一緒に寝よう」と美幸を誘ってみる。美幸はびっくりしたような顔をしている。でも嫌がってはいなかった。久しぶりの夜だ。ちょっと恥ずかしいが、自分がうきうきしている。「わかったわ」と美幸が言ってくれた。
お風呂に入りオーデコロンを身体につけてきたのか、いい香りがしている。彼女を抱くのはいつ以来だろう。自分が、いつも何か満たされないと感じていたのは、もしかすると美幸が数年前から別の部屋で寝ていることも関係しているのかもしれない。そしてその晩は予想以上に安心してゆっくり眠れた。彼女が大切であることを改めて実感していた。
麻衣からは「明日は家に帰る。仲直りしたならよかった。パパたちの問題は、私が考えている以上に深刻なんだと思った。解決できなくてもパパを悩ませてきた問題を自分なりに考えてみたんだ。そして友達のきららに相談したら、発想を変えておばあちゃんに聞いてみるのはどうとアドバイスされたから、入院中だけど会ってきていいかな」とメールが来た。
入院中だけど話し相手がいなくて時間を持て余しているかもしれないので、「脳トレになるのでおばあちゃんが疲れない程度ならいいと思う」と返事をした。