【前回の記事を読む】仲直りした妻に「お風呂に入っておいで。一緒に寝よう」…数年ぶりに妻を抱く。お風呂でコロンをつけてきたのか、いい香りで…
二 葛藤
麻衣のページ
おばあちゃんは、今まで言いたくても言えなかったことを、吐き出すように話してくれた。そして一息ついた。
「後になって同じようなことを言う人が地元にも増えてきた。農協の人たちの中でも若い人たちは同じことを言っていたのを何度も聞いたのよ。それでも親戚や本家の人は『自分の土地を人に渡すようなことをして、財産を減らすなんて考えられない』『お前が説得して息子に今まで通り農家を継がせればいいんだ』と猛反対だったのよ」
「そうなんだ。パパもおじいちゃんも真剣に話をしていたんだね。でも、いい結論が出なかったんだね」
「そうね。とても大きな問題だからね」
「でも考え方が違っても、親子であることは変わりないわけだからもう少し上手にできなかったのかな」
「そうよね。二人とも意固地になって、相手が謝らなければこちらから頭を下げる必要はないという態度だった。麻衣ちゃんと話をしていると、なんだかいがみあってきたことがばかみたいね。でもおじいちゃんは、分家の婿養子の立場だから本家や親戚の人の言い分を通さないといけなかったのよ。本心は別としてね」とおばあちゃんは苦笑していた。
「おばあちゃん、その時は板挟みにあって大変だったよね。時間が経ったけど、今パパの側に来て少しほっとしている?」
「そうね。ずっと行き来はなかったけど、実は内緒だけど電話ではよく話していたの。和子おばちゃんも間に入ってくれて、何かあれば相談していたの。知らなかったでしょ。麻衣ちゃんの写真も送られてきていたので、仏壇の扉の側のおりんの横に置いておくと、おじいちゃんも見ていたみたい。
だから茅ヶ崎に来ることになった時、あまり抵抗がなかったの。むしろ楽しみだった。麻衣ちゃんに会って、敏はいい娘を育てていると実感した。おじいちゃんとも麻衣ちゃんのことはいつも褒めてきたの。麻衣ちゃんは本当にいい子だから。美幸さんが偉かったんだと思うわ。働きながら、こんなにいい子を育てたんだから感謝しなくちゃね」と言われた。
おばあちゃんにママのことを褒められてうれしかった。その後、おばあちゃんの家のことを聞いた。