「おばあちゃんの家は、平家の落人を先祖に持つ家柄なの。だからその家柄を守るため、先祖代々努力をしてきたみたい。地元では名士として尊敬されていたのよ。その一族なので、それなりの格式を持って生活してきたのよ。今そんなことを言っても、時代遅れと笑われそうだけど。

だから大事なことは本家の意向を確認することが習慣になっているの。とても優秀だった敏が東京の大学を受験することも、本家は最初反対したのよ。地元の大学でいいだろうと。その時は私が本家のお兄さんを説得し、何とか了解してもらったの。地元の大学じゃいろいろなことが学べないし、おじいちゃんはもともと東京の人だったから」

おばあちゃんの地元では、今の時代とは違う風習がいまだに連綿と続いているところがあるようだ。

「当たり前に農家を継ぐ人も多かったので、何もしなくても何とかなると高をくくってきた人が多かった。地元を知らない麻衣ちゃんは呆れてしまうでしょう。疲れたから続きは今度ね」とおばあちゃんは言って横になってしまった。続きを聞きたかったが、おばあちゃんは疲れて眠ってしまっていて話は中途半端になった。

翌日どうしても話の続きが聞きたくて、おばあちゃんの病院へ行った。聞きづらかったけど、今おじいちゃんが耕していた土地がどうなっているのか聞く。

「耕していない田畑を耕作放棄地と言うの。この言葉は勉強した?」と聞いた。

なんとなくわかると言うと「その問題に取り組む農業法人ができて、そこに貸しているの。そこでできた野菜をもらったり、地代をもらって生活できていたの。だからこっちに来ることもできたのよ。

おじいちゃんが時々長野に帰っていたのも、その人たちと農地の活用方法について相談していたためだったの。茅ヶ崎に来ると電話でしか話せなかったからね。心配になって時々出かけていたのよ」

「本家の人は反対しなかったの」

 

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