麻衣は義父母の家に行った帰りには必ず私に報告をしてくれる。それにより二人の性格や生活の様子が、自分で行かなくてもわかるようになった。そして二人との距離は、麻衣だけでなく私自身も縮まってきているように思えた。それは自分勝手な思い込みかもしれなかったが、それでも私にとって「いい情報」だったことは確かだ。

二人と話をするようになって、麻衣は前よりいろいろなことに興味を持つようになっている。一人っ子で、話し相手は友達か私だけだったので、寂しい想いをさせてしまったのではないかと申し訳ない気持ちをずっと持っていた。

若い頃、寿退社が当たり前だった。仕事を続けるのは「夫の稼ぎが悪いから」という目で見られがちだった。夫も仕事を続けることにあまりいい顔はしなかった。それでも仕事を続けたいと思ったのは、「ようやく女性も社会に役立つ生き方ができる時代になった。だから仕事が一生続けられるように手に職をつけなさい」と母に言われてきたからだ。

戦後の混乱期、仕事がなくて苦労した時期があった母は、「将来結婚し子供が生まれたら、男女問わず仕事を続けられるように育てたい」と強く思ったようだった。

そんな母の影響で、仕事を続けたいと願う私は、結婚後一度流産した。そのためもう出産は難しいかもしれないと先生からは言われていた。でも麻衣を授かった。だからもう一人子供ができないかと期待する気持ちもあったが、麻衣を保育園に預けて忙しく働く私のところにコウノトリは二度と降りてこなかった。

それはそれでよかったと思っていたが、やっぱり母親が側にいない時間があることは寂しい想いをさせていただろう。だから二人の登場で麻衣の人生に新たな出会いが生まれ、そのことが彼女を大人にしてくれるはずだと内心では感謝せずにはいられなかった。

 

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