やがて女の子はスクスクと成長していきました。大病したおばあちゃんもその後は元気で、何の心配もありませんでした。

女の子は十六のときに恋をして、十八のときに結婚をしました。男性は街の設計士で働き者の優しい人でした。

やがて次々にこどもが生まれて、優しい夫と、賑やかなこどもたちに囲まれた生活は、それはそれは楽しいものでした。その平和な喜びの日々を脅かす何ものも考えられませんでした。しばらく夢のような年月がたっていきました。

やがて悲しみの影が少しずつ近づいてきました。おばあちゃんがすっかり年をとって、もうそろそろという頃になったのです。周りを見回しても、そのおばあちゃんの年を超える者は誰もいませんでした。

すっかり床について、もう明日死んでもおかしくないというときになって、女の子は優しい夫と、こどもたちに、何もかも打ち明けるのでした。皆はどんなに驚き、悲しんだことでしょう。でも、どうすることも出来ませんでした。思い余ってこどもたちのうちの誰かが言いました。

「もう一度、女神様にお願いしてみたら?」

それを聞くと女の子は言いました。

「そんなことは出来ません。女神様はあのとき私の心からのお祈りを聞き届けて下さったのです。それだけで充分なのに、私の命の短さを哀れんで、優しい夫と、元気なこどもたちをプレゼントして下さったのです。その上そんなあつかましいお願いをどうして出来るでしょう」

あとはもう誰も何も言う者はありませんでした。

おばあちゃんはそれから何日かの後に死んでいきました。女の子はおばあちゃんの手を握ったまま、ベッドの脇で息絶えていました。でもその顔は笑っていましたし、自分の今までの生活を心から喜んでいるようでした。

こどもたちは優しかったお母さん、美しかったお母さんの顔を心に焼き付けようとするかのように、いつまでも、いつまでも、その顔を眺め続けるのでした。