【前回の記事を読む】「あなたが仲間に入るなんて真っ平ですよ。きたならしくて、くさいんですもの」それを聞いた友達は…

第1章 森の動物たち

神の思惑を超えた動物たちの小話

蝶が蜘蛛の巣に引っかかってしまいました。いよいよ食べられそうになったとき、蝶は蜘蛛に向かって言いました。

「蜘蛛さん、私にはどうしても今日行かなくてはならない、花のお家があるのです。それでどうか今日一日私を自由にして下さい。その代わりきっと明日やって来て、あなたの思いどおりになりますから」

それで蜘蛛はその蝶を放してやりました。さて次の日になって蝶は、蜘蛛の所に行く前に、わけを話して仲間の所へサヨナラを言って回りました。

仲間は皆、行くのをやめろ、やめろ、と言いましたが、その度にその蝶は言いました。

「私が捕らえられたとき、私には今日一日、自由に生きていたいという願いだけしかありませんでした。そしてそれが許されたとき、蜘蛛が神様のように見えましたよ」

それから蝶は蜘蛛の所へ飛んで行きました。そして「さぁ、私をいいようにして下さい」と言うと、蜘蛛の巣に引っかかって、じっとしていました。

蜘蛛は言いました。

「私と約束して、それを守ってくれたからには、今日からあなたは私の親しい友達です。どうして親しい友達を食べることが出来ましょう」

それからその蝶と蜘蛛とは、親しい友達として暮らしました。

ふくろうのひとりごと

小さい皆さん、こんにちは。

今日は、ふくろうのひとりごとのお話をします。

森に二匹のモグラが住んでいました。あるとき二匹のモグラは森を東と西の半分に分けて、一年後にどちらの森の方が賢くて立派な動物を育てられるか競争することにしました。

それで二匹のモグラのうち赤い鼻のモグラの方は、東の森に行ってはそこに住む動物のこどもたちの間を回ってこう言いましたよ。

「君はなんて素晴らしいんだ。ひょっとすると天才かもしれない。自信を持って何事にも挑戦したら怖いものなしだよ」

それからもう一方の黒い鼻のモグラの方は、西の森に行ってはそこに住む動物のこどもたちの間を回ってはこう言いましたよ。

「君はなんてドジなのだ。こんなことなら落ちこぼれだよ。人間の世界なら単なる落ちこぼれで済むけど、ここじゃ三日と命は持たないよ」

さてそういう話を毎日毎日聞かされて一年たったとき、どちらのこどもたちの方が立派になったかというと、どちらも思ったほどでなく、二匹は顔を見あわせるばかりでした。

それでその辺のところを森の大フクロウに聞くことにしました。大フクロウは大変な見識家で、ホウホウと鳴く合間にブツブツ貴重な意見を吐いているのでした。

二匹のモグラは大フクロウに見つからないようにソッと行くとジッと耳を澄ませていました。するとある夜やっと大フクロウがその辺のところを喋ってくれましたよ。大フクロウはこんな風に言っていました。

「まったくあの二匹のすることといったら、ホウホウ。ほめてばかりでもだめ、叱ってばかりでもだめなら、ホウホウ。かわりばんこにすればいいのに。ホウホウ」

それ以来二匹は一か月ごとに地域を交換して、まずまずの成果をあげたそうですよ。