【前回の記事を読む】森を襲った大飢饉。若虎の王様は、半数を森から出て行かせるために……
第1章 森の動物たち
小鳥のピーコと若虎の王様
ある日のこと、虎は以前、自分が王様だった森に、足はよろめいていましたが、胸を張って頭を上げて帰って行きました。
何年ぶりかの森はなんと懐かしく感じられたことでしよう。沢山の昔の仲間が顔を出しました。
でも昔そこでの王様であっても、送別会で送り出された以上、もうヨソモノなのです。
ヨソモノがこの森の中に入り込んで、一本の草、一匹の虫にでも手をつけたら、容赦ない攻撃が加えられるでしよう。
でもこの虎が、ここで生活をしようと思って来たのではなく、ここで死ぬために来たのだということはなんとなく皆に分かりました。
ですから森の動物たちは遠くから眺めてはいましたけれど、特別に警戒はしていませんでした。
ピーコは懐かしい虎が帰って来て、どんなに喜んだことでしよう。
「お兄ちゃん」と言って飛んで行きました。でも帰って来た虎は、知らんふりをしていました。もちろん心では嬉しかったのですよ。
でも森のものが、ヨソモノと親しくするのはいけないことなのです。ピーコが後で森の誰彼から文句を言われないように知らんふりをしていたのです。
ですから虎が自分が生まれ育った茂みに来て、誰も見ていないのを確かめると、目を細めてピーコに言いましたよ。
「ピーコか。懐かしいな」
それからピーコはずっと虎に付き添っていました。何も食べないのですから、身体は弱るばかりでした。
ピーコが出来ることはせめて水を汲んできてあげることぐらいでした。でもそれもほんのわずかな量でした。
森に帰って来て五日目にその虎は死んでいきました。
ピーコが森の茂みの中で、虎が生きているように、いつも話しかけていたので、森の誰もがずいぶん長い時間がたった後でも、虎が死んだことを知りませんでした。
雨上がりの朝の森
小さい皆さん、こんにちは。
私は今日、雨の夜の森の続きとして、雨上がりの朝の森について書いてみたいと思います。
昨夜出たいのに出られなくて、一晩中ほこらの中で遊んでいた山猫の五匹のこどもは、今朝は外へ出て元気に駆けだしています。
よく見ると五匹の子猫は、皆色が違います。赤、黄、緑、青、紫です。
そんな五匹の子猫を森の大カラスは、すきあらば、と狙っています。