第2章 古い時代のお話Ⅰ
道端の小石とひな菊
小さい皆さん、こんにちは。
今日は、道端の小石とひな菊のお話をします。
道端に一本のひな菊が咲いていました。まだ咲いたばかりの、若い、若いひな菊でした。そのひな菊は、自分の側でいつも笑いかけてくれている小石に向かって、あるとき言いました。
「あなたの仲間の小石さんたちは、私を見てもすぐ目をそらしてしまうのに、どうしてあなただけは私にニコニコ笑いかけてくれるのですか」それを聞くと小石は言いました。
「私は以前、高い山の頂上で、すべての人に見上げられ、雲や風さんからも尊敬されて生きていました。
ですから今はこんな身の上だけど、美しい物を美しいと、尊い物を尊いと思って生きていくことが出来ます。
でもここにいる私の仲間のほとんどは、ずっとここにいて、埋もれたままのものたちなのです。それこそ一度だってほめられたこともなければ、注目されたことだってないのです。
そういうものたちは美しい物を見ても、尊いものを見ても、つい目をそらしてしまうのです。そうしたことが、ますます自分を埋もれさせてしまうのに気づかないで」
それを聞くとひな菊は言いました。
「分かりました。私はこれから少しでもあなたの仲間に話しかけて、それぞれが持っている良いところをほめるようにしましょう。歯が浮くようなお世辞にならないように」
それからひな菊は、来る日も来る日も周りの小石に向かい、その小石の持っている良いところを見つけては声をかけてやりましたよ。
でも固く閉ざした小石たちの心は容易に開きはしませんでした。やがて冬を迎える頃になって、そのひな菊は枯れていきました。
「さようなら」と皆に言って枯れていきました。そのときになっても小石たちは心を開いてはくれませんでしたが、ずいぶんたった後で、以前自分に優しい言葉をかけてくれたひな菊のことを、皆は懐かしく思い出すのでした。
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