【前回の記事を読む】第1発見者の不可解な供述…“110番通報の前に”刑事が2人、現場へ駆けつけたという…しかも『危険だからすぐに帰れ』と言われたようで…

ダウト1――銃殺を疑え

「知ってるんですね」

藤井がようやく重い口を開いた。

「山本さんは俺が組を抜けたいと言った時、組に掛け合ってくれて助けてくれた。お前はまだ若いからやり直せるって言って。

組を抜けてからもずっと俺のことを気にかけてくれて、俺からしたら兄貴のような存在だった。

でもある夜、山本さんが随分暗い顔をして俺に金を貸してくれって言ったんだ」

「いくら?」

「100万。俺にはそんな金なかったけど、できるだけの金を出した。その代わり何があったのか教えてくれと言ったら、辻という刑事から脅されているって言ったんだ」

「脅されている? 何を」

「山本さんの話では、その辻という刑事は自分の仕事でもないのに『アイス』の取引にやたら詳しくて、独自の情報網を持っているということだった。

それを利用して売人を脅して賄賂を要求していたらしい。応じなければ組対やマトリに情報を流すって脅して。

山本さんも取引の情報を掴まれて、300万払えって脅されて払いきれなくて俺に泣きついたんだ。俺は山本さんのためなら何でもしようと思って金を出した。だけど金はすぐに返してくれたんだ」

「返した? どうして」

「他にいい方法が見つかったから金は要らなくなったって言ってた。それなのにこんなことになるなんて……」

藤井は涙を流しながらグラスを呷った。高井良と詩は顔を見合わせた。その時店のドアが開き、2人のスーツ姿の男達が入ってきた。

「辻係長……」

そこに立っていたのは辻と一課の木下という刑事だった。辻は警察手帳を見せた。

「藤井大輔だな。傷害罪容疑で逮捕する」

その言葉を聞いて藤井は突然身を翻し、2人の刑事を突き飛ばして店外に逃げ出した。

「待て!」

辻と木下は慌てて藤井を追った。高井良と詩もその後を追った。しかし、足の遅い2人は暗い路地裏で3人を見失った。